現在の泌尿器科は腎臓、尿路、男性性器を対象とする医学の領域です。
したがってその対象となる疾患は腎臓疾患、尿路及び男性性器疾患ということになります。
泌尿器科の対象となる腎疾患としてはたとえば腎臓の腫瘍や結石など、特異的な疾患が主なものですが、急性または慢性の腎盂腎炎も明らかに泌尿器科の対象疾患といえます。
また原因が内科的または外科的であることを問わず、腎機能が高度に障害された腎不全の状態は人工透析または腎移植などの治療の適用となり、やはりこれも泌尿器科で扱われることが多くなっています。
以上様々な腎疾患のほか膀胱、尿道などの尿路疾患及び男性性器疾患、例えば膀胱癌、尿管腫瘍、尿路結石、尿路感染症、前立腺癌、前立腺肥大症、性器発育不全、インポテンツ、男子不妊症などがあげられます。
泌尿器科治療学の中心をなすものは外科的療法すなわち手術です。
しかし一般の外科手術と異なる特殊性は膀胱、前立腺、尿道疾患に対して威力を発揮する内視鏡手術であり、この手術法に熟練した泌尿器科医の存在は極めて重視されています。
このように現在では、泌尿器科の領域は極めて広く対象となる疾患も実に多彩なものです。
過去において泌尿器科が性病科あるいは皮膚科・泌尿器科学として知られるに過ぎなかった時代から、その領域は尿路、性器の疾患を対象として発展し、治療法も着実に進歩しています。
今後高齢化社会が進むにつれて老人人口が増加し、前立腺疾患や悪性腫瘍の発生率が顕著に上昇することが予想され、泌尿器科学に寄せられる期待とその担う責任は更に大きなものとなるでしょう。